湯活のススメ

温泉・銭湯・サウナ・岩盤浴等の温浴施設の楽しみ方

湯活とタトゥーについて考える

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今回は最近何かと話題の湯活とタトゥーの問題について考えていきたいと思います。

1.タトゥーに対する対応色々

皆さんご承知の通り、温浴施設の中には、「刺青・タトゥーお断り」の施設も結構あります。最近は、タトゥー隠しシールなるものもあり、これで隠せばOKという施設もあるようです。

わざわざ【水に強い】と書いてくれていますw
中には特に禁止事項もなく、刺青もタトゥーも何でも受け入れるという施設もあり、地域や施設によっては、刺青・タトゥーに対する受け入れも様々です。

 

2.日本における刺青・タトゥーの歴史に関する考察

そもそも日本で刺青・タトゥー禁止施設が多いのは、古来より囚人に対する罰則で一目で識別できるように刺青を入れる事から始まり、反社会的勢力者が刺青を入れ、それを誇示する事で、恫喝した事から一般社会に刺青を忌み嫌う風習が長年に渡り染みついた事が大きいと思います。

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江戸時代の囚人の刺青

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戦後の広島極道の生き様を描いた「仁義なき戦い」シリーズ

その昔は正義の刺青ヒーローも居たんですけどね(物語ですが)w

youtu.be

 

3.刺青・タトゥー禁止している施設の考察

温泉はともかく、銭湯は、本来公衆の衛生と健康に寄与する目的で、公衆浴場法による物価統制により、都道府県別に一律料金の許可制となっています。その趣旨からすると、伝染病罹患者以外は老若男女を問わずあまねく受け入れなければならないところですが、上記の刺青・タトゥーに関する嫌悪感を抱く者が多い為、やむを得ず刺青・タトゥー禁止としている施設も中にはあるのではないかと考えます。
また、平成3年施行された「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」いわゆる暴対法の周知もこれに拍車をかけていると思われます。

そもそも銭湯や温泉施設も商売ですから、刺青・タトゥーの方が居たら、怖くて入れないという人の方が多ければ、商売あがったり、倒産の危機ですから、背に腹は代えられないという事で、「刺青・タトゥー」禁止にする施設側の判断にも一定の理解を示すことが必要ではないかと思います。

また、法律では出入禁止を定めるのは施設の自由裁量となっており、そもそも、映画の「R18」や法律制限のある飲酒や喫煙施設では「20歳未満立入禁止」等の年齢制限、サービスの内容によっては「男性専用」「女性専用」等性別による入場制限、遊園地の遊具等のような身長〇cm未満は乗車禁止等の身長制限、その他「〇〇」の方は入場お断り等、自由に定めることが出来るというのが実情です。

尚、銭湯、温浴施設に関わらず、お客様受入施設を運営する側には以下の申し出が認められています。
  1. 「不法侵入罪」出入り禁止に該当するにも関わらず、不正入場した場合。
  2. 「不退去罪」不正入場や迷惑行為者に「出て行け!」と命じたにも関わらず帰らない場合。
  3. 「騒音防止条例違反」大声を出したり、騒ぐのを止めない場合。
  4. 「威力業務妨害」居座って、従業員や他のお客様にご迷惑を掛けた場合。
  5. 「暴対法排除命令」反社会的勢力の場合、それをほのめかして恫喝まがいのことをしたり、名刺を出すだけで警察が退去、進入禁止命令を出せます。

 

4.刺青・タトゥー禁止していない施設の考察

反対に刺青・タトゥーを禁止していない施設の経営者は、経営者自身に抵抗感がないか、地域によってそういうアレルギーの少ないところは、あえて禁止にしていないというケースもあり、最近はタトゥー隠しシールを貼ればOKという容認派も含めて、緩和傾向にあるのではないかと考えます。
この事は、東京浴場業組合理事長様も承認されており、ご自身の経営される銭湯でも刺青・タトゥー禁止は謳われておりません。
※こちらは東京浴場業組合理事長様の経営される「はすぬま温泉」↓

yukatsu.hatenablog.com

こちらでは無いですが、下町のとある銭湯で、受付の際、ご主人からこっそり「今日は背中に絵のある方が多いかも」と耳打ちされた事があり、「私、全然気にしませんから」と浴室に入ると、まあ半分以上の方がカラフルな状況で、サウナ室で前後左右斜め前をカラフルなお方が囲む状況になった事があり、その時はちょっとした動く日本の古美術鑑賞気分で、逆に可笑しくて吹き出しそうになった事があります(何とか吹き出さずに済み、特に怖い思い等もしませんでした)
要はマナーの問題ではないかと思います。

 

5.今後の流れと対応の予測

最近ではラグビーワールドカップやオリンピックの招致も行われ、世界に目を向けるとファッションタトゥーや宗教によるタトゥー等、様々な要素があり、一概にタトゥー=悪とは言えない状況です。
肩に「TOKYO LOVE」の刺青を彫られたレディーガガ様から、もし「I love japanese Sento!(私、日本の銭湯好き!)」と言われたら、私が銭湯経営者なら入店を断れるものではありませんw

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現在、刺青・タトゥー禁止の銭湯や温浴施設は、市街地や山手の住宅街に多く、刺青・タトゥー容認の施設は下町に多い傾向がありますが、今後前述の外国人需要の受け入れ要請等から、都心部でもタトゥー禁止について見直す施設が増えて来るのではないかと考えます。

最近の若者の中にも刺青=悪ではなく、ファッションとして受け入れる傾向も見られ、直近では今年・来年の外国人観光客受け入れ、長い目で見れば、20~30年スパンで刺青・タトゥー=悪ではなく、反社会的勢力であるかないかに関わらず、悪は「悪」として毅然と対処し、タトゥーは文化として切り離して考える時代が来るのでないかと考えています。

 

6.刺青・タトゥー受入施設(2019/9/22現在)

既に取りまとめたサイトを見つけましたので、ご参照ください。

「Tattoo Friendly」

tattoo-friendly.jp

 

7.最近の温浴施設とタトゥーに関するニュース

こちらは最近の温浴施設とタトゥーに関するニュースをまとめたものです。
賛否両論ありますが、議論が進展する度に、入浴マナーとタトゥーとの相関性・非相関性への認識が高まり、問題客の出入禁止とタトゥーとは分離して考える傾向が強まっているように感じます。

・2019年9月15日 観光経済新聞
 温泉エッセイスト 山崎まゆみ「ちょっとよろしいですか」vol25

https://www.kankokeizai.com/【山崎まゆみの「ちょっと-よろしいですか」25】/?fbclid=IwAR0Sj0quLHM6CiXHKbc7NTcbR6PjWZVy0Evavm3qB7NHMIwzAyujzUaY78k

・2019年8月7日 朝日新聞

www.asahi.com

・2019年6月3日 毎日新聞

mainichi.jp

・2019年6月2日 FNN PRIME

www.fnn.jp

・2019年5月30日 BIGLOBEニュース

news.biglobe.ne.jp

・2019年5月21日 日本経済新聞

www.nikkei.com

・2019年2月22日 FNN PRIME

www.fnn.jp

・2018年9月15日 朝日新聞

www.asahi.com

 

本来、温泉や銭湯、サウナは、肩書も立場も置いて、身も心も裸になってお湯や蒸気と一体となる場所です。日本のONSENがグローバルスタンダードになろうとしている今、インバウンド含め、より多くの方に温泉の魅力を知って頂き、よりフレンドリーで健康的な体験を広める意味でも、刺青・タトゥーに関する見方、考え方も再考察しても良いのではないかと思いますが、皆さんはいかがでしょうか?

※本レポートは決して反社やマナーの悪い人を擁護するものでも、刺青・タトゥーを入れる事を推奨するものでもありません。

※こちらはONSENのグローバルスタンダードに触れた「由緒ある温泉入浴法」に関するレポート↓

yukatsu.hatenablog.com