温泉それ自体気持ちいいものですが、温泉の泉質や適応症を知れば、より一層楽しめますし、自分に合った温泉も見つけられますよ。
1.温泉の定義
温泉とは、地中から湧出した時の温度が25℃以上もしくは、25℃未満であっても別表の物質(19項目のうちいずれかひとつ以上)が規定量含まれていれば、温泉だそうです。また条件を満たせばその湧出する水蒸気やガスも温泉と呼ぶそうです。
※日本温泉協会WEBサイトより転載
2.温泉の泉質
温泉は含まれる成分により以下9泉質に区分され、それぞれに適応症があります。
昔は塩化物泉や酸性泉の殺菌作用が、それぞれ怪我や切り傷、皮膚病に効く事を体感として認識し、湯治に出掛けていたのではないでしょうか?
3.温泉分析書
こちらは上記の泉質だけでなく、その温泉に含まれる様々な成分の濃度やphが記載されています。
当然同じ泉質でも成分の含有量によりその効果に違いが出ます。
ph4未満の物を酸性泉、ph7.5以上の物をアルカリ性、その間の物は中性と呼びます。
酸性の湯は殺菌効果が高い為、傷や皮膚病に、アルカリ性の湯はクレンジング効果で美肌効果が高いといわれています。
また高張性、低張性というのは細胞の濃度を基準にした浸透圧の事で、日本の温泉の多くは低張性ですが、高張性の物ほど水分が体に浸透しやすいという事です。高張性の温泉は湯あたりしやすいので、無理をせずほどほどに休憩をしながら楽しむように心掛ければ良いと思います。
4.温泉の温度
環境省「鉱泉分析法指針」によれば、温泉の泉温区分は以下4通り。
・冷鉱泉 25℃未満(※泉温では規定値未達だが成分が規定値以上あるもの)
・低温泉 25℃以上~34℃未満
・中温泉 34℃以上~42℃未満
・高温泉 42℃以上
5.温泉の色
温泉には色んな色や濁りの温泉があります。
私は分析の専門家ではないので、詳細な分析はここでは述べませんが、それぞれの温泉の持つ成分やその濃度、長く地中に埋没した源泉が空気に触れることで起こる化学変化、泉温、外気温、それら様々な要因がその土地・風土で齎す芸術の数々です。
正に地球の神秘のパワーを感じずにはいられません。
・白 白骨温泉「湯元齋藤旅館」(他に別府鉄輪「白池地獄」等)
【公式サイト】白骨温泉 昔ながらの源泉かけ流しの宿 齋藤旅館
・黄 「東京染井温泉sakura」(他に「武蔵小山温泉 清水湯」等)
東京巣鴨の極上癒し温泉「SAKURA」(サクラ) | 東京巣鴨の極上癒し温泉SAKURA,染井吉野発祥の地に立地する癒しの天然温泉、お勤め帰りのOLの方も是非ご利用下さい。
・赤 有馬温泉「金の湯」(他に別府鉄輪「血の池地獄」等)
・緑 岩手国見温泉「石塚旅館」
・青 大分県「杜の湯ゆふいん泰葉」(他に別府鉄輪「海地獄」等)
【公式】由布院温泉 杜の湯 ゆふいん泰葉 全国的に珍しい『青湯』の宿
・茶 板橋温泉「スパディオ」(他に「湯どんぶり栄湯」等)
・灰 別府拘泥温泉「別府温泉保養ランド」(他に別府鉄輪「鬼石坊主地獄」等)
・黒 東京深大寺温泉「湯守の里」(他に「麻布黒美水温泉 竹の湯」等)
・七色 本宮温泉郷「湯の峰温泉」つぼ湯
※このつぼ湯は世界遺産認定されており、1日に七回色が変わると言われています。現在も入湯可。
温泉の湯の色や濁りを楽しみに湯巡りするのも、また温泉の醍醐味の一興ではないでしょうか?
※写真は、私自身まだ全て回れていないこともあり、浴室内は原則撮影不可の為、各施設公式WEBサイトよりお借りしております。
6.温泉提供法いろいろ
①源泉掛け流し
源泉に加水、加温等の手を加えず、生のまま浴槽に給湯し、循環させず、掛け流す事で、常に新鮮な源泉そのものを味わえる状態。源泉は空気に触れて化学変化で色が変わったり、変化を起こす場合もあり、温浴施設の中には、空気との接触、ポンプ等で圧力を加える事もよしとせず、湯船の底から自然湧出するにまかせる源泉脈かけ流し方式を採用するところもある。
②加水
源泉の湯音が熱過ぎて入湯出来ない為、入湯可能な温度まで加水して適温にする等。
湧出量が豊富な一部源泉では、高温の場合でも加水せず、お湯を水路で流したり、竹の枝等を伝って、自然の熱交換で適温にするケースもある。
③加温
源泉成分が豊富な源泉でも、湧出時の温度が25℃未満の冷鉱泉や源泉からの配湯距離が長い場合、適温になるまで加温する等。
中には、冷鉱泉のまま入湯する稀有な施設も存在する。
大分県九重の寒之地獄霊泉水ではサウナの水風呂も顔負けの13~14℃の冷鉱泉に全身を沈める熱波ならぬ極寒地獄が体験できます。
④循環
源泉を湯船から掛け捨てず、循環させて再給湯すること。源泉の湧出量が少ないケースや、湧出量より入湯客の多い温泉郷、地区によっては保護地区で給湯量に制限がされているケースもあり、源泉保護の観点から循環も必要な手法の一つではある。
⑤消毒
上の循環とセットになっている場合が多いが、温泉の不感温帯(体温に近い温度)はレジオネラ菌等が繁殖しやすい環境の為、保健所の指導で塩素等の薬剤を適宜適量投入して、安心安全を確保する。これも入湯客保護の為の必要な手段と言える。
⑥自然湧出と機械揚湯
自然湧出は、比較的浅いところから源泉が湧き出し、自然と地表に湧き出ている状態。
機械用湯はボーリング等深い位置の源泉脈から、水中ポンプ等の機械で揚湯している状態。保険所の飲泉許可は、自然湧出の源泉のみに適合され、機械揚湯では許可されることはない。
よく源泉掛け流しばかりを有難がる傾向があるが、源泉掛け流し、飲泉OK等というのは、非常に恵まれた環境という事が出来る。もしそのような温泉に巡り合った場合は、地球の恵みに有難く感謝してお湯を頂いて欲しい。そうではないケースの場合も、人智を尽くして温泉の醍醐味を提供しようとしている施設に感謝の気持ちをもってお湯を頂いて欲しいと願うものであります。
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