湯活のススメ

温泉・銭湯・サウナ・岩盤浴等の温浴施設の楽しみ方

湯活が楽しくなる温浴用語集|温泉・銭湯・サウナ

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さて、「湯活のススメ」執筆に当たり、入湯レポートを書く度に初見の方でも分かるようにと、専門用語は文中で説明したり、脚注を付けたりして参りましたが、ここらで温浴豆知識の一環として本ブログに頻出する温浴用語集についてもまとめておきます。用語の意味を知るだけで湯活が楽しくなる事間違いナシ!

温泉

・温泉の定義

源泉の温度が25℃以上、溶存物質が1,000㎎/㎏以上、特定成分を一定以上含有の内、一つでも満たせば温泉

・療養泉

単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、硫黄泉、酸性泉、放射能泉、含よう素泉の10種の泉質は泉質に応じた適応症が定められ、温泉の中でも特に療養泉と呼ばれる。

・浸透圧分類(高張性)

体液より高い浸透圧(塩類10g/㎏以上)を持つ。成分が吸収されやすく長湯すると湯あたりしやすい。
※写真は「吉川天然温泉ゆあみ」さんの右浴室源泉かけ流し露天風呂(成分総計20,640㎎/㎏の高張性)↓

・浸透圧分類(等張性)

体液と同じ浸透圧(塩類8~10g/㎏)を持つ。

・浸透圧分類(低張性)

体液より低い浸透圧(塩類8g/㎏)を持つ。水分が吸収されやすくふやけやすい。
※写真は「竜王ラドン温泉」の男湯浴槽(成分総計1,906㎎/㎏の低張性)↓

・液性分類(ph)

大別するとアルカリ性、中性、酸性の3種、詳別すると以下9種。
・強アルカリ性(ph10以上)
・アルカリ性(ph8.5以上)※↑ココから上が鉱泉分析法指針ではアルカリ性泉
・弱アルカリ性(ph7.5以上~8.5未満)
・中性(ph6以上~7.5未満)
・弱酸性(ph3以上~6未満)
・酸性(ph2以上~3未満)※↓ココから下が鉱泉分析法指針では酸性泉
・強酸性(ph2未満)

・泉温分類

源泉湧出地の泉温で以下4分類に分かれています。
・高温泉(42℃以上)
・温泉(34℃以上~42℃未満)
・低温泉(25℃以上~34℃未満)
・冷鉱泉(25℃未満)

・(泉質分類)単純温泉、アルカリ性単純温泉

療養泉の特定成分が温泉法の規定値に達していないが泉温が25℃以上あるか、もしくは各成分は規定値未満だが、溶存物質が1,000㎎/㎏以上あるもの。体への負担が少ない優しい泉質。この内、ph8.5以上のものをアルカリ性単純温泉と呼び、特にph9を超えるとクレンジング効果が高い事からツルツル~ph10を超えるとヌルヌルした独特の浴感となり、俗に「うなぎの湯」等と呼ばれる場合もある。
※写真は磐梯熱海の「温泉ゲストハウス湯kori」さんの女湯浴槽(無人時撮影許可済・単純温泉)↓

・(泉質分類)塩化物泉

溶存物質が1,000㎎/㎏以上で塩化物イオンがミリバル比で20%以上のもの。特にナトリウムイオン5,500㎎/㎏以上、かつ塩化物イオン8,500㎎/㎏以上のもの、またはナトリウムイオン、塩化物イオンの両方が240ミリバル/㎏以上の物を塩化物強塩泉という。味覚は濃度によって塩味を感じ、効能としては塩化物のヴェールが保温瓶のように全身を包む為、保温効果が高く一般的に「熱の湯」と呼ばれる。
※写真は、SOLA SPA印西牧の原モア温泉」さんのナトリウム‐塩化物強塩温泉(露天ぬる湯浴槽)↓

・(泉質分類)炭酸水素塩泉

溶存物質が1,000㎎/㎏以上で炭酸水素イオンがミリバル比で20%以上のもの。クレンジング効果が高く古い角質を溶かす性質がある事、入浴後の浴感から、一般的に「美肌の湯」「清涼の湯」と呼ばれる。
※写真はYRP野比の「野比温泉」(残念ながら閉湯)↓

・(泉質分類)硫酸塩泉

溶存物質が1,000㎎/㎏以上で硫酸イオンがミリバル比で20%以上のもの。陽イオンの主成分がカルシウムの場合は「石膏泉」と呼ばれ、鎮静効果が、陽イオンの主成分がナトリウムの場合は「芒硝泉」と呼ばれ、やはり鎮静効果が、陽イオンの主成分がマグネシウムの場合は「正苦味泉」と呼ばれ、これも鎮静効果があります。総じて鎮静効果が高い事から一般的に「傷の湯」と呼ばれる。

・(泉質分類)二酸化炭素泉

遊離二酸化炭素が250㎎/㎏以上の物。特に1,000㎎/㎏以上の物は療養泉となり、炭酸ガス(発泡)系入浴剤10~25個分の効果がある。炭酸ガスの血管拡張効果で負担を掛けずに血行促進する事から、一般的に「心臓の湯」と呼ばれる。

・(泉質分類)含鉄泉

総鉄イオンが20㎎/㎏含まれているもの。鉄は空気に触れると酸化する為、湧出直後は無色透明でも、含有量により薄黄~赤褐色を呈す。飲泉では鉄錆の苦味があり、貧血予防効果、入浴では冷え性、更年期障害に効能がある事から「婦人の湯」と呼ばれる。
※写真は川崎市「有馬療養温泉旅館」さんの単純鉄冷鉱泉↓

・(泉質分類)硫黄泉

硫化水素イオン、チオ硫酸イオン、遊離硫化水素の合計(総硫黄)が2㎎/㎏以上のもの。硫化水素特有のゆで卵の腐ったような匂いがあり、白濁したお湯が多いです。硫化水素の濃度が濃いと致死量に達するケースもある為、野湯等で硫化水素臭が濃い場合は、その場を離れ、風上に逃げましょう。薬理効果は高く咳、痰、高血圧の他、シミ予防にも効果があると言われ、「美白の湯」とも呼ばれる。

・(泉質分類)酸性泉

水素イオン1㎎/㎏以上含み、ph3未満の酸性の湯。殺菌効果が高く、古くから武将の隠し湯等として知られるものも多い。傷にも効果があるが、アトピー性皮膚炎や乾癬に効能が認められる事から、一般的に「皮膚病の湯」と呼ばれる。高温の温泉や、成分の濃い温泉が多い為、湯あたりに要注意。

・(泉質分類)放射能泉

ラドンを74Bq(5.5マッへ以上)含むもの。又はラジウム塩を10-8㎎以上含むもの。
特にラドンを111Bq(8.25マッへ)以上含むものは療養泉と認められる。天然の物は希少。放射線というと怖いイメージがあるが、微弱放射線にはホルミシス効果といって全身の細胞を刺激し免疫力を高める効果があると言われる。その為、効能は幅広く「痛風の湯」「万病の湯」等と呼ばれている。一般的に経皮吸収より飲用や呼気吸入による効果の方が高いと言われている。

・(泉質分類)含よう素泉

空気に触れると薄黄~山吹色を呈する。傷薬にも使われる成分で、殺菌効果が高い。適応症は高コレステロール血症(高脂血症)。殺菌効果が高い為、傷にも効く。
※写真は「真名井の湯 千葉ニュータウン店」の含よう素泉かけ流し浴槽(残念ながら閉湯)↓

・(泉質分類)メタケイ酸泉

メタケイ酸を50㎎/㎏以上含むもの。メタケイ酸とは化粧水成分の一つで保湿効果が高く美肌の湯の一つと言える。含有量が多いと結晶が陽の光を乱反射し、稀に青色を呈する場合がある。
※写真は阿佐ヶ谷「天徳泉」さんの男湯浴槽(メタケイ酸泉)↓

・(泉質分類)メタホウ酸泉

メタホウ酸を5㎎/㎏以上含むもの。メタホウ酸は目薬の成分の一つ。殺菌効果も高く、一般的に「目の湯」と言われる。
※写真は東村山市「かたくりの湯」さんの和風浴室露天風呂(2023/4/1より休館)↓

・モール泉(黒湯)

モールとはドイツ語で「亜炭」の意味。数十万年間、地下の高圧環境下に閉じ込められた海藻等の植物質を含む古代海水が石油化する前の状態。色はミネラル成分の含有量により、薄黄~漆黒と様々。味覚は出し汁のような味で、ツルツルした浴感も特徴。ちなみにモール泉とは温泉法上の泉質ではない為、単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、メタケイ酸泉等が見られ、様々。昔は希少だったが、最近では大深度(地下1,000m以上)掘削の技術も進歩した為、多く見られるようになった。
※コチラは日本一の黒湯と呼び声の高い生麦の「朝日湯」さんの黒湯。透過度は5㎝程↓

・美人の湯

「美人の湯」と言われる三大泉質は炭酸水素塩泉(クレンジング効果)、硫酸塩泉(肌の蘇生効果)、硫黄泉(シミ予防、美白効果)。これに加え、アルカリ性泉(クレンジング効果)、化粧水成分のメタケイ酸泉(保湿効果)も美人の湯と呼べる。

・温泉分析書

温泉分析書と温泉分析書別表に分かれ、温泉分析書には泉質名と湧出地や成分の詳細が、温泉分析書別表には適応症と禁忌症が書かれている。泉質名の一般的な記載は、規定値を満たす成分の含有量により、特殊成分ー陽イオン(※20%以上の成分の多い順)-陰イオン(※20%以上の成分の多い順)(浸透圧・液性・泉温)であるが、後半カッコ内の順番は、成分分析会社により並びが異なる場合もある。

例:含よう素ーナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉(低張性・弱アルカリ性・冷鉱泉)等

また温泉法上は10年に一度の分析が義務付けられており、10年の間に源泉の成分が濃くなったり薄まったり、泉質名や成分内訳が若干変わる場合もある。また温泉法も変わる事から、古い分析表の場合、旧泉質名が書かれている場合や、施設によっては温泉分析を行っていない為、温泉分析表掲示が無いが、明らかに温泉という場合も稀にある。温泉分析書の知識があり温泉分析書が読めると、入浴時の浴感や感想も更に深まるし、仮に温泉分析が行われていない野湯等に巡り合った場合も、色、匂い、湯触り、浴感等から泉質を朧げに想像したり出来る事はなかなか楽しいものである。
※写真は、群馬県「伊香保露天風呂」に掲示してあった温泉分析書↓

・源泉

温泉が湧出する場所の生の状態。温泉認定を受ける為には、所有者等温泉の権利を持つ者が源泉名を定め、認定機関より温泉分析を受けなければならない。勿論、野湯等認定を受けない物の中にも温泉がある。
※写真は本厚木「七沢荘」の源泉櫓。源泉は析出物で管が詰まる為、パイプ交換用櫓組むのが一般的↓

・(湯の提供分類)加水

源泉の泉温が熱過ぎる、成分濃度が濃すぎる、源泉の湧出量が少なく客室数や共有の利用軒数の関係で湯量が十分で無い等の場合に加水される。

・(湯の提供分類)加温

源泉が冷鉱泉等冷た過ぎる時等、加温される場合がある。泉質によって加温により特徴が失われる(二酸化炭素泉等)場合もあり、泉質によっては加温し過ぎないことが重要。

・(湯の提供分類)循環

主に源泉湧出量が少なく源泉保護の観点から、または省エネルギーやコスト削減の観点から源泉をかけ捨てずに濾過循環させて使用する。

・(湯の提供分類)消毒

お湯(源泉)の消毒の為に塩素等の薬剤を投入する。法的には循環の場合は必須で、かけ流しの場合でも、所轄保健所によっては消毒を義務付ける場合がある。公衆浴場法では、浴槽内で塩素濃度を0.2~0.4mg/ℓに保ち、かつ、遊離残留塩素濃度は最大1.0mg/ℓを超えないようにすることと定められている。温泉マニアの間では、塩素消毒は科学的にお湯の成分が変化する事、源泉が本来持つ酸化還元力が失われる事から余り喜ばれない。しかしながらレジオネラによる事故を予防する為には保健所の指導に沿った温泉の提供が求められている。

・源泉掛け流し

本来は、加水も加温も循環も消毒も行われない源泉本来のままの状態で提供される事。
しかし営業的には加水、加温、循環していても、少量掛け流してその分の新湯を足していればこう呼ばれる事もあり、言葉の定義が曖昧な場合もある。

※コチラは温泉ソムリエの山口貴史氏がオーガニックな温泉の定義を定めた純温泉協会のHPです↓

realonsen.com

・足元湧出泉

温泉が湧いている場に浴槽や湯小屋を設けている。源泉は空気に触れる事で酸化が進み還元力が失われる為、空気に触れず浴槽内から源泉が沸いている状態は究極の源泉掛け流しと言える。加水も加温もせず入浴に適温の状態で浸かれる時点で、奇跡的な自然の恵みで貴重な存在。

 

温泉に関しては、「温泉ソムリエ」からの知識がほとんどです。
ご興味のある方は是非チャレンジしてみて下さい。

onsen-s.com

 

銭湯

・宮造り

関東大震災後に人々を元気づけようと東京を中心に始まった、寺社を模した立派な屋根や意匠を施した銭湯の建築様式。成り立ちから東京を中心に関東に多い。
※写真は練馬区地域景観資源にも選ばれた大泉学園「たつの湯」の宮造りの外観↓

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・唐破風

唐の仏教建築の影響を受けた湾曲した瓦屋根の事をこう呼ぶ。
※写真は銭湯ロケの聖地と呼ばれる大田区の「明神湯」さんの唐破風↓

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・千鳥破風

直線の三角の瓦屋根の事をこう呼ぶ。上下二段に重なった千鳥破風の事を二重千鳥破風等と呼ぶ。
※写真は川崎の「富士見湯」さんの二重千鳥破風↓

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・懸魚

江戸時代、銭湯は火事の火元となる事も多かった事から、火除けのまじないとして軒先に取り付けられた彫刻飾り。題材は縁起物の鶴や亀、七福神や龍が多い。名工の作と言われる物もあり、当時の価値で家が一軒建つと言われた物もあるそう。現在は軒先から取り外されて下足箱やフロント上に飾られた物もある。
※写真は広尾の「アクアガーデン三越湯」さんフロント上に飾られた三話の鳥があしらわれた懸魚↓

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・兎毛通し

上記の懸魚の内、唐破風に取り付けられた物を特別に兎毛通しと呼ぶ。
※写真は千住より江戸東京たてもの園に移築保存された「子宝湯」さんの兎毛通し↓

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・弓矢飾り

湯に入る事を「弓を射る」に掛けて飾られた銭湯を表すアイコン
※写真はキングオブ縁側と言われた北千住「タカラ湯」さんの弓矢飾り↓

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・「わ」板・「ぬ」板

宮造りのレトロ銭湯入口で時折見掛ける「わ」板・「ぬ」板。コチラは銭湯芸術家ウエハラヨシハル氏の商標登録で、「わ」は湯が沸いたで開店、「ぬ」は湯を抜いたで閉店を表している。
※写真は国指定登録有形文化財に選ばれた板橋「稲荷湯」さんの「わ」板↓

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・拍子木飾り

稀に見かける拍子木飾り。往年、銭湯に三助(背中を流すサービスをするお兄さん)が居た折、拍子木を1回叩くと男湯、2回叩くと女湯という合図だった名残で男湯には1本の拍子木飾りを、女湯には2本の拍子木飾りを飾っている。
※写真はキングオブ銭湯と呼ばれた「大黒湯」さん脱衣場入口上の拍子木飾り(残念ながら閉湯)↓

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・折り上げ格天井

格子状に組んだ木組みに板を貼った天井。廻り縁を曲面で折り上げた天井の事を特に折り上げ格天井と呼ばれ、高度な職人技による物で格式が高いと言われた。中には寺院のように各升の中に花鳥風月や鳳凰の絵付けがされた豪壮な物もある。
※写真はクイーンオブ銭湯 浅草「曙湯」さんロビーから見上げた折り上げ格天井↓

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・ペンキ絵

銭湯に最初にペンキ絵が描かれたのは1912年(大正元年)。当時水道橋にあった「キカイ湯」のご主人が子連れ客に喜んでもらおうと絵師に頼んで描いてもらったのが始まりとされる。その時の絵師が静岡県出身だった事から、題材に選ばれたのが富士山。以降これが評判を呼んで、銭湯と言えば富士山という程、富士山のペンキ絵が広がっていった。現在は他にも風景やキャラクター等、世相を反映して様々な物が描かれる。またペンキ絵は傷んで剥がれてくる事から1~5年程度で描き換えられる事が多い。
※写真は鶴見「安善湯」さん男湯の故早川利光絵師による富士山のペンキ絵↓

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・タイル絵

傷みやすいペンキ絵に変わり、タイル絵も多く登場している。タイル絵も小さなモザイクタイルを使用したモザイクタイル絵や、タイルに絵を焼き付けた九谷焼のタイル絵等、様々な意匠があり興味深い。
※写真は横須賀 県立大学駅の「日の出浴場」さん男湯仕切り壁の九谷焼のタイル絵(残念ながら閉湯)↓

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・カラン

洗い場の蛇口の事。語源はオランダ語で「鶴」を指すkraan(クラン)に由来する。
※写真は静岡市「天神湯」さんの珍しい段違いカランです↓

銭湯に関しては銭湯検定からの知識がほとんどです。ご興味のある方は是非チャレンジしてみてください。

日本銭湯文化協会 銭湯検定 銭湯俳句

 

サウナ

・サウナ室の色々

コチラは以前、温浴施設のいろいろ(サウナ編)でまとめたので、コチラをご参照ください↓

yukatsu.hatenablog.com

・ロウリュ

フィンランド語で「蒸気」の意味。サウナではサウナストーブに水やアロマ水を注ぎ、サウナ室の湿度を高めたり、高温蒸気の発生により発汗を促す事もこう呼ぶ。自分でサウナストーンに水を注ぐ事をセルフロウリュと呼ぶ。日本では、スタッフがロウリュを行い、発生した蒸気をタオルや団扇等で扇ぐ行為まで含めロウリュと呼ぶ場合も多いが、コチラは正式には後述する「アウフグース」の方が語源的には正確。
※写真は、8HOTEL CHIGASAKIさんでのセルフロウリュの様子↓

・アウフグース

ドイツ語で直訳すると「注入」の意味。サウナではサウナストーブに水やアロマ水を注ぎ、アウフギーサー(日本では「熱波師」)と呼ばれるスタッフが、タオルや団扇、中にはブロワーを使用して入浴客に発生した高温蒸気を浴びせかけ発汗を促進するサービスを総称してこう呼ぶ。盛んなヨーロッパではショーの要素が加わり、技を競う世界大会等も開催されている。
※写真は静岡県裾野市「Thermal Climb Studio Fuji
」さんのMountain Saunaで行われたアウフグース↓

・サウナハット

サウナ浴の際、火照りやすい頭部を保護し、髪のダメージを和らげる。最近は材質やデザインも様々な物が登場し、サウナーの中にはコレクションしている方も。
写真は、クラファンリターンで頂いた日本橋「コミュニケーションサウナOOO」さんのサウナハット

・サウナマット

サウナ室でベンチに敷かれているマットの事。汗で濡れる為、スタッフが適宜交換に訪れる。施設によってはサウナ室入口に一人用のマットが積まれている場合もあり、その場合は1枚持って入り、敷くのがマナー。中にはマイサウナマットも持参する強者も。

・ラドル

桶に汲んだ水やアロマ水をサウナストーブに注ぐ際に使用する柄杓の事。
※写真は上野にOPENした個室サウナ「RED°EーSAUNA」さんのセルフロウリュ用ラドル↓

・バケット

熱したサウナストーンに掛ける水やアロマ水を入れておく桶やバケツの事
※写真は表参道にOPENした「パーソナルサウナ空KUU」さんのセルフロウリュ用バケット↓

・キューゲル

水やアロマ水をボール状に凍らせたアイスボール。ロウリュの際、水やアロマ水を注ぐ代わりにサウナストーブに置いて高温蒸気を発生させる。水やアロマ水と異なりじわじわ溶けるので、溶けきるまでじわじわと熱気が持続する。
※写真は関内の「PROSTYLE SAUNA横浜馬車道」さんのマンダリンのアロマキューゲル↓

・ヴィヒタ

※「ヴィヒタ」はフィンランド語で、英語では「ウィスク」、ロシア語では「ヴィニーク」、リトアニア語では「ヴァンタ」、ラトビア語では「スルアタ」と呼ばれます。

白樺の枝葉を束ねた物。サウナ室に吊るして香りを楽しんだり、体を叩いて血行促進したりする際に使用する。新鮮な枝葉の物をフレッシュヴィヒタ、乾燥させたドライな物を乾燥ヴィヒタと呼び、乾燥ヴィヒタは主にサウナ室内に吊るして使用する。
※写真は、イベント開催の下北沢「サウナタウン」テントサウナ内に吊るされた乾燥ヴィヒタ↓

・ウィスキング

※ウィスキングは英語で、リトアニア語では「ピルティス」、ラトビア語では「ピルツ」と呼ばれます。

ロシア発祥のサービス。ウィスキングマスターとかパリーシュクと呼ばれる者が、ヴィヒタで体を叩いたり擦ったり、押し付けたりして血行を促進させてくれる。日本のマッサージに近い感覚だが、ヴィヒタを使用する事、サウナ室内で行う事が大きな違い。白樺以外の枝葉を使用する場合もあるが、森の薫りに包まれながら施術を受ける感覚は至福のひととき。日本では「しらかばスポーツ」という集団がウィスキングサービスを日本に広げる活動をしている。森でどつくという人も居るw
※コチラは「しらかばスポーツ」さんの公式サイト↓

shirakabasports.studio.site

・輻射熱と対流熱

輻射熱とは熱源から空気や水等の媒介を介さずに直接伝わる遠赤外線の電磁波による熱。
対流熱とは空気や水を通して熱せられた空気や水が上昇し、温度の低下と共に上から下に流れて来る熱。
一般的にはガス(電気)遠赤外線ヒーターは輻射熱、サウナストーンを使用したサウナストーブは対流熱が主と言われています。しかしながら、ガス(電気)遠赤外線ヒーターでもサウナ室内に対流は起こりますし、サウナストーンを使用したストーブでもサウナストーンの表面から輻射熱は出ますので、サウナ室内の熱気は、ストーブやサウナ室の形状、
構造により様々なコンディションが考えられると思います。

・ケロ

ケロとは北極圏より北に位置するフィンランド北部のラップランド地方で採れる松材で、樹齢200年以上、立ち枯れて枝や葉が落ち、更に40年以上経ったものをのみがケロと呼ばれるそうで、大変貴重な木材。日本でもケロ材を使用した貴重なサウナがここ数年幾つか誕生して注目を集めている。
※写真は静岡県裾野市「Thermal Climb Studio Fuji」さんのKELO-SAUNA↓

・下茹で

サウナ入室前に予めお湯に浸かる事。汗腺が開きサウナ室で発汗しやすくなる。

・水通し

サウナ入室前に予め水風呂に浸かるか冷水シャワーを浴びる事。特に最初の1セット目は慣れた人でも火照りやすいが、予め水通しを済ませておく事で、汗腺を引き締め体幹温度を引き下げてじっくりサウナ浴を楽しめる。サウナが苦手な人やサウナ初心者にもおススメ。
※写真は関東最深、東京足立区「堀田湯」の深さ160㎝の水風呂↓

・シングル

10℃未満の水風呂。最早冷たいを通り越して痛い!都内でも提供する施設は数軒しかなく、意外と屋外テントサウナで冬季に味わう可能性が大。十分体の芯まで温まって入るか、冷水に慣らして浸かるかして事故の無いように要注意!サウナーの間では「グルシン」とか「ジュードロウ」等とも呼ばれる。
※写真は「Ledian Spa恵比寿店」さんのシングル水風呂↓

・天使の羽衣

芸能人でサウナーとしても有名なオリエンタルラジオの藤森慎吾氏の言葉。水風呂内で暫くじっとしていると体表付近の水が体温で温められ、薄い羽衣に包まれているような感覚になる。バイブラの効いた水風呂では作られず、折角出来ても少し動いたり、他の人が水風呂に入ると秒で消える儚い羽衣。

・ととのう

プロサウナー「濡れ頭巾ちゃん」が言い始めたとされる。一般に広まったのはサウナ大使でもあるタカナカツキ氏のマンガ「サ道」、ドラマ「サ道」での認知によるところが大きい。サウナ、水風呂等、後述する温冷交互浴で両極端に振り切った交感神経が、徐々に通常の感覚を取り戻していく過程で起きる恍惚としているが、色や匂いや音等の五感が鋭敏に働いている特別な感覚。人により様々表現されるが、浮遊感、多幸感に包まれる為、サウナはメンタリティに効くと言われる。
※写真は西荻窪「ROOFTOP Sauna」さんの屋上デッキのととのいスペース↓

・あまみ

高温のサウナでは、自律神経は汗をかいて体温を下げようとする為、血流が体表に集まり赤くなる。低温の水風呂に浸かると、汗腺が閉まり深部体温を維持しようとする為、体表で温められた血液は深部に集まる。但し、サウナ⇔水風呂の温度差が大きい場合等、自律神経が追い付かず、体表に集まり続ける血流と深部に戻る血流が皮膚上にキリンの網目模様のようなまだら模様を描く様。医学用語では「動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう)」という。元は富山方面の方言らしいです。
あまみが出るという事は、後述する温冷交互浴による自律神経のリセットが上手く行っている証でもあり、高い充足感が得られる場合が多い。
※写真は、今は休館中の大森「カプセルホテル&サウナみづほ」さんサウナセッション後のあまみ↓

・朝ウナ

早朝出勤前等に入るサウナ。短時間、少ないセット数でパッと入り、リラックスするというよりは、交感神経を刺激し、シャキッと目覚める為に入る。
※コチラは以前、朝ウナでお世話になった御徒町「スパリゾートプレジデント」(残念ながら閉店)↓

yukatsu.hatenablog.com

・サ飯

サウナ後に食べる飯。サウナ後は味覚も鋭敏になっている為、いつもより美味しく感じる。辛い物、酸味のある物、パンチのある物が欲しくなる。
※写真は、横浜「スカイスパ」の名物「キムチチゲ」。鍋の後の雑炊も絶品↓

・オロポ

オロナミンC+ポカリスエット(大塚製薬)。発祥は六本木のサウナ「アダムアンドイヴ」。サウナで失われた水分とミネラルが同時に補給出来る為、サウナー御用達の神ドリンクと呼ばれる。他にもリアルゴールド+アクエリアスの「アクエリアル」(コカ・コーラ社)、タフマン+ヤクルトの「ヤクマン」(ヤクルト)等あり、各位の好みでオリジナルの組み合わせやブレンドを楽しむサウナーが増え、新たな神ドリンクが続々誕生している。
※写真は、オロポ発祥の地と言われる六本木「アダムアンドイヴ」のオロポ↓

サウナの基礎知識の多くは、公益社団法人日本サウナスパ協会が主催するサウナスパ健康アドバイザー及びサウナスパプロフェッショナルから得た物です。ご興味のある方は是非チャレンジしてみて下さい。

https://www.sauna.or.jp/adviser/

https://sauna.or.jp/professional/index.html

 

温浴全般

・温冷交互浴(温冷交代浴)

熱湯とぬる湯、サウナと水風呂等、高温環境と低温環境を行ったり来たりする事で、血管の収縮が促され、血行促進や血圧低下効果がある。また自律神経が両極端に振られる事によりリセットされ、不定愁訴や冷え性、鬱症状の改善に効果があると言われる。

・ヒートショックプロテイン

ヒートショックプロテイン(HSP)とは、お風呂やサウナで体の芯まで温まる事で発生するタンパク質の一種で、傷んだ酵素やコラーゲン、筋肉等あらゆるタンパク質を修復する機能がある。半身浴より全身浴が有効。疲労回復効果も高まる。ちなみに一説には体温が1℃上がれば、人間の免疫力は6~7倍に高まると言われている。

・ホルミシス効果

微弱放射線を浴びる事で、全身の細胞を刺激し、殊に免疫力を高める効果(好転反応)があると言われている。放射能泉、秋田県「玉川温泉」・台湾「北投石」・ドイツ「バドガシュタイン鉱石」等を使用した鉱石風呂、人工ラドン温泉、人工ラジウム温泉等で体験する事が出来る。微弱放射線は経皮吸収より飲泉や呼気吸入が効果が高いと言われている事から、温浴施設のラドン風呂等は、内湯の仕切られた個室内に設けられる事が多い。

・不感温帯

湯温でいうと概ね34~38℃程度の体温±2℃程度のお湯。体への負担が少ない為、いつまでも浸かっていられるぬる湯。一部の温泉は湧出温度の加減で泉温自体がこの温度帯の場合も。一般的には公衆浴場やスーパー銭湯の高濃度炭酸泉に多く用いられる。

・チラー

空調や湯船の温度を熱交換で冷やす為の装置。主に水風呂で用いられ、常温よりも冷たい水風呂の場合は、ほぼこの装置が使われている。かなり高価な装置。
※写真は落合「松本湯」の水風呂冷却用チラー↓