【所在地】神奈川県横浜市鶴見区寛政町8-1
【入浴日】2020/11/19
【閉店日】2023/4/30
この日は、銭友Kさんの手引きもあり、「かねてよりあそこは凄い!」と伺っていた鶴見の「安善湯」さんへ足を運びました。
安善湯さんへは鶴見線で向かいます。下は出発の鶴見駅構内。鶴見線は鶴見~扇町を結ぶ10駅のローカル路線で、駅舎も秋の夕陽を浴びてどこか哀愁漂います。
安善湯さんは安善駅と武蔵白石駅の中間付近ですが、屋号にならいこの日は安善駅。
駅向かいの建物(駅舎?)からもレトロ感がダダ洩れですw
それでは改札を出て鶴見線沿いを右手方向へ。
下のタバコ屋さんが見えて来たら、その先の路地を左折。
突き当りを右折し、駅から徒歩3~4分で安善湯さんの外観が見えて来ます。
裏手からはレトロな外観と共に煙突の全景も見る事が出来ます。
実は安善湯さんは、元々工業地帯であった安善の工場の工員専用浴場だったそう。その後各家庭に風呂が付くようになり、専用浴場から銭湯へと鞍替えされたとの事。ちなみに駅名や屋号の安善は、この地域を開発した浅野セメントの出資者、旧安田財閥創始者の安田善次郎に由来するものだそう。銭湯にも色々な歴史があるものです。
OPEN時間から暫くしてお邪魔しましたが、!?あれ、誰も居ない。。。
愛想の良い女将さんにご挨拶し、特別に無人の浴室を撮影させて頂きましたので、ここからは、そちらの写真を交えながらレポートさせて頂きます。
レトロな番台と男湯脱衣場の全景。女将さんは私以外に誰も居ない為、女湯脱衣場でTVを見ながら寛いでいらっしゃいました。
こちらは体重計と昔の広告入りのロッカー。
それでは準備を済ませていざ、浴室へ。
初めて見る八角形の浴室。正面には故 早川利光絵師の手による山梨から見た富士山のペンキ絵。コンクリート壁に直接描かれたもので、20.11.6と作画年月日が残されていました。その横に25.6.23世界遺産登録と書かれていて、こちらはご主人が登録を喜んで追記されたものかも知れません。
浴室サイドにもう一つ、こちらは近江の風景を描いたペンキ絵。
グルリと回ってこちらは浴室奥から脱衣場側を写した写真です。
天井には丸い湯気抜きの穴の上に正方形の湯気抜き窓。
鑑賞はこの位にして、沐浴で全身お清めを済ませ、早速お風呂へライド温♨
脱衣場から見て左手が浅湯、右手が深湯で湯温は44℃ときっちり熱湯。
この日はエメラルドグリーンの薬湯で、浴槽とのコントラストが美しいです。
湯に浸かりながら、改めて浴室を眺め、この熱い湯に昔の工員さん達も浸かったのだと思うと、知らぬ時代の事とはいえ、ちょっぴり感慨深いものがあります。
この日は湯船で暫く感慨に浸り、最後にシャワーで流して上がりました。
湯上り後、汗が引くまで脱衣場で休憩していると、女将さんから「今なら女湯も誰も居ないから、撮っていいわよ。」とのお言葉。まさかの申し出に有難く撮影させて頂きましたので、こちらの景色も紹介しておきます。
男湯と同じ八角形の浴室。
正面のペンキ絵は、北海道 大沼公園と書かれていて、正面の山は駒ケ岳でしょう。
ペンキ絵の下の広告入り鏡も今となっては貴重なものです。
実物の景色と比べると、かなり正確にシルエットが描かれているのが分かります。
銭湯に居ながらにして旅情気分。
ある意味とても贅沢な時間を過ごさせて頂きました。
本日もありが湯ございました。熱い湯と親切な女将さんに感謝!
その安善湯さんの閉店が伝わって来たのは2023年4月に入ってから。
閉店日は2023/4/30だそうです。
また一つ、歴史的な銭湯が閉店する事は、誠に残念ではございますが、この場をお借りしてこれまでの永きに渡り、鶴見の地に湯を沸かし続けて来られた事に深謝♨
最期にYoutubeのスキマツアーズさんの安善湯紹介VTRが秀逸でしたので、紹介しておきます。安善湯内外の風景から歴史まで、コチラも是非ご覧下さいませ。
現在定休日は第2・4日曜日、営業時間は15:30~22:00となっております。
お別れ入浴に行かれる方は、お早めにお気を付けてお出掛け下さい。
※浴室内は通常撮影不可ですが、無人の際に女将さんにご了承を頂き、特別に撮影させて頂きました。